マイクロソフト日本社長ダレン・ヒューストン氏の講演が、ワシントン州の日米協会の主催でベルビューで行われた。講演は、このASCII24の記事にある2005年に彼が日本に赴任した際に行ったJ-Planプレゼンの現状報告といったものであったが、日米のソフトやネットの仕事に関わる私としては、ここそこにとても興味深い話題がたくさんあった。

まずは、ヒューストン氏であるが、ご本人もおっしゃっていたように日本の新聞のプレスリリースのお堅い写真とは全然違う、気さくで気取らない、いかにもカナディアンといった感じの方であった。最もさすがにハーバードビジネススクール出身のビジネスマン、日本の状況把握や技術の理解については、さすがに鋭いなと思わせるところがあった。そして、とにかくテクノロジーがお好きなそうで、講演の端々にそれが感じられ、ちょっとテッキー(つまりオタクなおばさん)である私は何かとても親近感さえ持ってしまった。


さて、ヒューストン氏の講演で一番おもろしい分析だと思ったのが、日本はデジタルライフスタイルは進んでいるが、デジタルワークスタイルは遅れているという指摘。

ここで言われていた、デジタルライフスタイルとは消費者市場でのデジタル化で、携帯やゲームなど日本では最先端技術が世界のどこよりもたぶん受け入れられているということだ。その反対のデジタルワークスタイルつまり職場でのデジタル化は欧米に遅れを取っているということ。マイクロソフトでは日本のデジタルライフスタイルに学び、デジタルワークスタイルではビジネスチャンスを掴んでいくという戦略だそうだが、このデジタルワークスタイルの遅れにいつも悩んでいる私は、ヒューストン氏にその理由は何だと思われるかずばり質問してみた。

彼の答えは次の3点

1.失われた15年ーつまり日本が不況だったこの15年にIT投資がされなかった

2.企業経営者の平均年齢が高いので、新しい技術を取り入れることに積極的でない

3・オープンシステムの導入が一般的でないーつまり大手のITプロバイダーにすべてを頼ってしまって、自社でIT導入を展開しようという動きがあまりない

1は納得、2は英語ではBusiness People are oldとはっきりおっしゃていたのですが、日本人同士だとちょっとこれは思っても言えないかも 3も本当にそうなのだけどこの体質って変わっていくのだろうか。

ヒューストン氏は世代交代とJ-SOX法のような新たな法的規制が、追い風になってこれから日本のデジタルワークスタイルは変化すると見られているようで、本当にそうなればいいなと思った。


最後に、余談ですがヒューストン氏がマイクロソフトが開発した漢字の書き順練習ソフトの話をしていて、それはゲイツ氏もお気に入りとか。さらには日本人がもっと英語ができるようになる教育ソフトの開発なんかもされるべきって話で、何か苦笑してしまいました。