今回のブログサミットに出席して、新しい技術ではないものの応用法ということで、これからの可能性が感じられたものとしてビデオキャスティングがあった。日本でもビデオキャスティングはすでに試されているが、米国ではYoutubeだけではなくブログを含めてビデオキャスティングを応用したサイトが多くある。アルファブロガーのスコーブル氏、この業界の先駆者的コンサルタントとして知られるメリー・ホダー氏、人気ブログサイト Gear Liveを主催しているアンドリュー・エドワード氏の3人のパネルによって行われたセッションではそういう例がたくさん紹介された。

まず、注目すべき点は、ビデオキャスティングにおけるWeb2.0的な可能性である。 ビデオキャスティングは、ビデオや音声の質、編集などにはまだ時間と手間が必要であるが、インターネットにアップロードするという点においてはYouTubeで明らかなように非常に容易な仕組みができている。ホダーー氏はYouTubeでアップロードされたビデオから有名バンドとなったokgoのビデオが紹介されたが、これは彼らのガレージで撮影されたものだそうだ。またペアが合っていないソックスを販売している会社のビデオコンテストの入賞者のビデオのひとつはなんとスティーブという中学生が作ったものだというから驚いてしまう。 


以前にYouTubeのXデーという記事を書いたが、その時点では著作権のあるプロが作ったビデオが法律上の問題からなくなった場合、YouTubeのようなサイトが成立するのかが大変疑問だった。しかし、今回のサミットで、世界中にはプロでなくても、才能のある人がたくさんいて、その人たちが何らかの形で見出されることができれば、それは現在プロが作っているものに匹敵するくらいのエンターテイメント性、つまり人の共感を呼ぶ作品となる可能性を強く感じた。

そして、誰でもがアップロードすることができ、検索する技術があり、RSS配信で容易に見ることができるなどのWEb2.0的な仕組みが、才能さえあれば誰もが世の中に見出される可能性を作りつつある。つまり音楽のインディーズラベル的なことが、ネットでさらに簡単にできるようになっていきビデオでその可能性が広がると言うこと。また、これがビジネスの世界にも応用されるようになると、会社で作るビデオニュースがどんどん外部に流されるというようなことになる。実際、このような試みはすでにCisco@NEWSでされており、CiscoではCEOの社内アナウンスメントにもビデオキャスティングが使われているということ。そして、この動きはiTVやビデオの見れる携帯端末によってさらに加速すると思われる.たぶんネット業界の覇者Googleは、こうした動きを熟知しており、いろいろな問題があると知りつつ、このビデオキャスティングの先駆者的存在のYouTubeを手に入れたかったのだろう。

さて、それではYouTubeで誰でも簡単にビデオをアップロードできるようになっている今、なぜわざわざ自分でビデオキャスティングをしなければならないのか。私自身もこのブログに載せるのもYouTubeの貼り付けで十分だと考えていた。しかし、ホダー氏によれば、 YouTube、FlickerTV、GoggleVideoにビデオをアップロードすることには落とし穴があった。それは、アップロードをするときに著作権を放棄することに同意しなければならないことだ。つまり、一度YouTubeなどにあげてしまったビデオは他企業や他人がどのように使ってもそれを阻止する権利は何もないということ。これは今後、プロをめざす個人や企業がビデオキャスティングする際に押さえておかなければならない点だろう。