アメリカでも携帯は多機能な道具として欠かせないものになると言っていたのは、このあいだのビジネスブログサミットの時に話しをしていたマイクロソフトの携帯端末機の担当者。逆に先週別のコンファレンスで出会った日本に住んでいたことのあるという弁護士は、日本では使っていたけど、アメリカじゃ携帯なんて電話以外では必要ないと言い切っていた。どちらも30代のアメリカ人男性、いったいどちらが本当なのだろうか。

たぶん答えはその中間にある気がする。確かに携帯端末機はアメリカでもっと活用されてもよいと思う。一時はこんなサービス使う人いるの?と思うほど高かった各種サービス料金もだいぶ安くなっている。しかし、日本と同じ機能が使われるとは限らないだろう。まずはメール機能。アメリカはニューヨークとかシカゴなどの大都市の都市部を除けば車社会。車での移動がほとんどなので、普通の個人は携帯でメールをすることはあまりない。もちろん限られた活用はある。飛行機で出張するビジネスマン、キャンパスを移動する学生、外回りの営業マンなど。しかし、普通の人の大抵の用事は音声通話で済む。アメリカでは通話料が安いので、そのあたりもメールを打つ必要性をなくしてしまう。
さらには車での移動では運転に視覚を取られてしまうので、移動中には音声のみしか聞くことができない。従って、iTuneやデジタルラジオが聴ける携帯は使える。逆にテレビを見たり、ゲームをしたりする機能は携帯である必要はあまりない。インターネット利用も同様に車での移動中はできない。しかし、GPSによるナビゲータ音声機能が携帯についていればこれは使えると思う。(アメリカの車はまだナビゲーターがついてくるものは少ない)さらには、お財布携帯は、車で移動中のドライブスルーで飲み物を買うときやガソリンを入れる時ににいちいちお財布からクレジットカードを取り出す手間がなくていいかもしれない。
移動中でないときに携帯を使うとすると、たぶんそれは待ち時間だろう。アメリカは基本的にはアポの国なので、日本ほど待たされることはあまりない気がする。しかし、それも例外はあって歯医者の待合室などでブラックベリーを使っている人をよく見かける。ERでは信じられないくらい待たされるが、このときは携帯どころではない。レストランで食事がくるまでもちょっと時間があるが、携帯で何かするというのは、あまりに余裕がない感じがしてアメリカ的にはいただけない感じだろう。家の中ではといえば、日本より広い住居では数台のパソコンを置くことにはあまり問題がないから、どうしても携帯を使って何かをする必要はやはりあまりない。もちろんトイレや風呂でもインターネットやテレビが見たいとか言うことであれば別だが、これもこちらの生活のペースを考えるとあまりに忙しない気がする。

ということで、アメリカでの携帯の活用はやはり音声中心、車での移動をかなり意識したものでなければならないことは確かだ。しかも、こういう携帯をどこまで必要としているかもかなり個人によって異なるわけで、アメリカの普通の人の生活のペースを考えると、かなり慌しい日本人のような生活をしている人により向いている気がする。このあたりが日本のような携帯がなかなかアメリカで浸透しない原因なのかもしれない。