米国のエスニック・マイノリティーの携帯電話の使用法はかなりマジョリティー(つまり一般の白人)と違いがあるらしい。まず、見て欲しいのが上記のラテンアメリカ系と一般人のデジタルメディアの使用の比較の統計だが、ここまで違うのかと驚いてしまう。携帯電話の所有率は少し多いだけだが、テキストメッセージ、携帯で取る写真使用は倍ぐらいの使用率になっている。

そして、In-Statの2006年12月のレポートでは、アフリカ系、アジア系も携帯電話の付加価値サービス使用が一般よりも多く、キャリアのマイノリティーグループからの付加価値サービスの使用による収益は一般と比べて平均で20%ぐらい多いということである。中でもラテン系は携帯電話の使用分数と使用料支払いが最も高いらしい。

ここで思うのは、文化とコミュニケーションの深い関係。コミュニケーションは文化によってかなり異なるものである。それは言葉だけではなく、話し方などの相手に伝える方法からグループや社会のなかで誰とどのようにコミュニケーションを取るかというネットワークのパターンにまで及ぶ。

ラテン系アメリカ人は本当に良く喋る人たちなので、携帯電話でペラペラ喋っている姿はよく見かける。そして、一般のアメリカ人に比べていわゆるClose-Knit Community(結束の強い密接な共同体)を形成していて、人間関係が濃い。特に家族や親戚の結びつきは日本人以上かもしれない。ということは、家族の写真を取って送ったり、お互いの近況報告をしあったりということをまめに行っているということだ。つまりコミュニケーションが密なのだ。それにはいつも持ち歩あるける携帯電話という道具が便利ということになる。そしてRingTone(着メロ)のダウンロードがヒップホップやR&Bなどがメージャーなことを考えると、自分たちのカルチャーを共有することも彼らにとっては大切なことなのだろう。

もちろんこうしたマイノリティーが都市部に集中して住んでいることも無視できない点ではあると思う。以前の記事にも書いたが、車社会はアメリカでの携帯電話の普及の大きな壁なので、都市部で車を使わずに生活しているマイノリティーには携帯が受け入れやすいというは納得できる。

しかし、使用法においては文化的なコミュニケーションの密接さのほうが、もっと大きな壁なのかもしれない。