先日、日本から来ていたエンジニアくんのお別れ会で近隣のおしゃれな街カークランドへ行った時に Clearwire社の前を通った。マーケティングのイメージ通りのワシントンレイク沿いのきれいなオフィスだった。このClearwire、業界ではかなりの成功者の方が作った会社で、WiMAXという話題の技術をいち早く商業化し、資金集めにも成功して先月IPOをしている。

がしかし、なかなかビジネスは大変なようだ。3月にIPOをしてからというもの株価は下がり気味。理由としてはまず今ひとつ顧客が集まらないらしい。25都市でと海外の展開で3月末で22万人ぐらいは加入ということだが、会社の描いていたプロジェクションとはだいぶ違うようだ。

Clearwireは少なくともシアトル界隈ではここ数ヶ月かなりの販促活動を行っていて、Vonage同様に新聞広告やDMでかなりのブランディングをしているので、けっこう名前は知れてきている。だが自分の回りの反応は冷ややかだ。Clearwireってどう?と振ってみると大抵は「必要ないよ」という答えである。

まず価格だが、インターネットアクセスということでは競合のケーブルやDSLに比べてそれほど安いというわけではない。データのスピードもそれほど変わらない。
だからClearwireに乗り換えるとすると理由はたぶんひとつだけ。どこでも使えるワイヤレスであるということだ。しかし、ネットでいろいろ調べて見ると、このどこでもワイヤレスというところにだいぶ問題があるようなのだ。

まずはホームページで自宅がカバーされている地域かどうかを調べようとすると、住んでいる場所と一緒にFloor?という質問がある。つまり家が何階建てかということが問題になるようで、このあたりから何か不安を感じてしまう。それで実際に使っている人の意見はというと、ネットで見る限りクリアワイヤに乗り換えたことに後悔している人のほうが多い感じだ。その理由は、やはり繋がらないことがあるということ。どうも様々な理由で電波が遮られてしまうことがあるようだ。まあワイヤレスだから仕方がないか。

そして、これは改善されるらしい(もうすぐカードを売り出す)が、現時点ではネットにつなげるにはモデムを持ち歩かなくてはならない。ワイヤレスだけど荷物が増えるということで、これはやはりいただけない。

Clearwireは予定していたWiMAX技術を使うことができずに今はあまり性能のよいものを使えていないという話だが、これから技術的な改善がかなりなされないとビジネスはむずかしそうな感じがする。しかしそれとは逆に販促は、ワイヤレスのマウスと25ドルのギフトカードをプロモーションとして足すなど加速化している感じ。これはVCとIPOでしっかり資金を集めたからできることだろう。しかし、技術的には問題が追いつかないとお客は来ない、、、とWiMAXのビジネスはとっても微妙でクリアではないようだ。