マイスペースの日本語ベータ版がオープンしてそろそろ一ヶ月なので、様子を覗いてみた。このアメリカ発のSNSが、文化の壁を越えて日本でどういう展開をしていくのかはとても気になるところだ。

まだコミュニティーの数も少ないし、検索で何度も同じ人がでてくるので、そんなに参加者は多くなっていないというのが最初の印象。また現時点では、参加者のセグメントにかなり偏りがある。

まず多いのが帰国子女とか海外在住者といったバイリンガル文化の担い手たち。ミュージシャンやDJなどの音楽関係者も多い。つまり、参加者は、すでに英語版のマイスペースに参加していたようなアメリカの文化に精通あるいは傾倒している人々と言える(ちなみにアメリカのMySpaceアカウントがそのまま使える)。ここで気になってしまうのが、このアメリカ文化傾倒セグメントが日本でどの程度の割合なのかと言うこと。というのも韓国の超人気SNSサイワールドが1年前に日本に進出しながらも結局、韓国文化傾倒セグメントから広がりを見せていないということがあるからだ。


サイワールドは仮想アイテムの交換など、アメリカとも日本とも違うSNSの新しいアイディアを持った画期的なSNSであるのに、日本では韓流ファンの域を超えることができていないのだ。

マイスペースも同様にこのままアメリカ文化傾倒セグメントが中心となってしまうと、いくらソフトバンクの後押しがあってもその域を超えることができなくなってしまうかもしれない。なぜなら、日本の本流文化のなかではこのセグメント限られたものだからだ。つまり、このセグメントの域を超えられなければ、MySpaceはニッチSNSで終わってしまう可能性がある。

そうならないためには、やはりローカライゼーションだが、ただ見かけを変えて日本化してしまったのでは、すでに市場を確立しているMIXIの後追いでしかない。それではどうしたらよいのか。その鍵はたぶん、マイスペースが文化の壁を越えた独自性を出していけるかどうかだと思う。

その独自性とは何かというと、アメリカのMySpaceのポジショニングを見る限りポップカルチャーの担い手ということではないかと思う。マイスペースは若者中心に最新の音楽や映画、ファッションなどを語り合ったり見せ合ったりする場として成長してきた。ということは、日本でもこのセグメント、携帯文化ティーンを掴まなければならない。つまりは、渋谷のセンター街の若者たちが、自分や友達の写真を携帯電話を使ってマイスペースにベタベタ貼り付け出したら、このSNSは、日本で成功の道に近づいたと言えるだろう。

MIXIと違い13歳以上で参加ができること、ソフトバンクが携帯電話のキャリアであることも、このセグメントから広めることには好都合だと考えられる。そして、このティーンの本流を掴んでいけば、ある程度その文化を共有する次の世代に広がりを見せることができるはずだ。ベータ版は、これからフィードバックによって手が加えられていくということなので、ソフトバンクマイスペースがどこまでこの日本の本流ポップカルチャーに近づいていけるのかが興味深いところだ。