最近よく寄稿などでも見かける宋 文洲氏。彼の著書「やっぱり変だよ 日本の営業」は、とても面白かった。中国のことわざというか故事にも対比してのコメントもそうであるが、日本人をこれだけ理解し、好意的かつ客観的な指摘は有り難い。しかも、現場レベルのコメントも多く、分かりやすい。ちょうどクライアントの仕事と重なる部分もあり、自分自身の確認にも役立った。

やっぱり変だよ日本の営業―競争力回復への提案

本著のあとがきに彼は「・・変化の激しい時代においては、流れも本質も頻繁に変わってしまう可能性があります。」と記している。「流れ」については私もよくベクトルという言葉を使っているが、注目したいのは「本質」である。当たり前と思っていたことが通用しなくなることもあるのが現在のITビジネス社会かもしれない。一時期、流行用語のようにもなった「パラダイムシフト」の大切さだろう。

そのためにはシフトする主軸である自分がしっかりしていないといけない。時には理屈より自分の感性を大切にしながらも主人公の立場で、自己責任のもとにチャレンジしつづけることだろう。その感性が磨かれるのも多くの経験からくると思う。
日本人は、いつの時代になっても「やっぱり変だよ」と言われるかもしれない。それは、島国・単一民族の家族主義という文化・慣習がある限りなくならないと思う。でもそれもまた日本人らしくていいと思う。環境が人を作る。グローバル化がいろいろな局面で進むなかで、彼のような言葉にも広く耳を傾け、島国根性が広い世界のなかで裸の王様にだけはならないように気をつけたいものだ。