iPhoneの部品代が意外に安いことやAppleがiPhoneエンジニアの募集をしているということがニュースとして話題になっているが、考えてみるとこれはあれほど華々しくプロトタイプは発表されたものの、iPhoneの製造開発はこれからっていうことを示している。

先日、Diceというアメリカでエンジニア専門の求職サイトを見ていたところ、iPhoneの写真つき宣伝がでているので、エンジニアにiPhoneを売っているのかと思ってクリックしてみると、アップルのiPodとiPhone開発のエンジニアの求人にリンクされていた。そこにでていたのは、iPhone関連の33人のエンジニアの募集。QAとかテストエンジニアは納得が行くとして、部品業者とのコーディネートをするWireless Engineering Project Managerとか、カメラの開発をするCamera Engineer とかアナログ関連のデザインをするAnalog Design Engineerの募集を読んでいると、ハードの詳細はこれからなんだと思わざるを得ない。

そして、ソフトのほうもTelephoney Engineerの募集があるが、エンジニアはOS Xをあの小さなディバイスで走らせると言う至難の業を成し遂げなくてはならないわけで、これもまた簡単ではないはず。

最もアメリカで製造開発に関わったことがある人ならば、これは大して驚くことでもないかもしれない。なぜならアメリカ市場では製品のマーケティングのタイミングが優先されて、製造開発は後からついていくことが多いからだ。アップルの場合このマーケティング優先の傾向がとても強く、またそれが成功してiPhoneが話題を集めているだけにその裏側がニュースとなっているのだろう。
市場競争が激しいアメリカでは、市場で勝ち抜くには先に打ってでることが大事。製造開発が間に合っているかよりも、競合他社に遅れを取らないことが考慮される。そして、日本人の感覚からすると、製品化が間に合わなかったり未完成品を世に出すことになったりするのに抵抗があるが、このあたりがフレキシブルなアメリカ感覚。作るほうにも受け入れるほうにもまあ少々のことは仕方がない後で何とかすればよいというところがあるのでこうした図式が成り立つのだろう。とは言えエンジニアはあと6ヶ月、間に合わせるためにかなり無理を強いられるはず。iPhoneのエンジニアの皆さん、がんばってすごいiPhoneを作ってくださいね。