ヒラリー・クリントンがライブのWebキャスティングは、22日東部時間の午後7時に開始された。新聞のニュースではこのWebキャスティングがビデオチャットと称されていたが、これはライブのWebキャスティングでクリントン女史への質問をチャットで入力はできるもののクリントン候補がそれにチャットで答えると言う方式ではなかった。昨日の記事でWebサイトのほうはWebマーケティングの基本を押さえていると書いたが、このWebキャスティングのほうは、Web20的な双方向コミュニケーションには今ひとつだったかもしれない。

サイトのソースコードからすると、このWebキャスティングはOn Strean Media CorporationのVisual Webcasterという製品を使用しているようである。国土の広い米国では、企業が社内ミーティングや顧客とのコミュニケーションにこうしたWebキャスティングをよく活用しており、これはそうしたWebキャスティング製品のひとつである。そういう点で、大企業に働くアメリカ人にはあまり目新しいものではない。しかし、政治のキャンペーンで大衆を相手にこうしたWebキャスティングを使用したということでは、新しい試みと言えるだろう。

このWebキャスティングを見るためには、まず参加登録が必要であった。登録は名前とメールアドレスと言う至って簡単なものだったが、ここでメールアドレスを集められてしまうわけである。登録をすると管理画面があり、メディアプレーヤーかリアルオーディオ、そして画質を選択できるようになっていた。

チャットの質問はライブキャスティングの1時間前から受け付けられていた。ライブにはクリントン女史とブロガーと称する女の人が出ており、このブロガーがパソコンを見ながらクリントン女史にチャットででてきた質問をするという形式になっていた。このVisual Webcasterという製品は少人数であれば双方向のビデオやオーディオを可能な製品のようなのだが、やはりかなりの人数をさばくためには、チャット入力という機能に限ったのではないだろうか。画面は左上4分の1にウェッブキャスティングがあり、右上にホワイトボード、右下がチャット入力エリアとなっていた。ホワイトボードも今回はキャスティングの時間が書かれた画面がでているだけとなっていた。

というわけで、自分の質問がヒラリーにされる可能性はあまり高くなく、質問が届いたかどうかもわからない状態であった。そういった点でこのWebキャストはWeb2.0には今ひとつ届いていなかったという気がする。さらにはどんなときも間違いなく、よどみなく人前で話ができることで有名なクリントン女史は、このライブでも間投詞が入るとか間があくとかそういうことが全くなかった。それで、かえってライブ感が欠けていた気がする.つまり、双方向ライブだからこそもっと人間的な面が見れるかと思っていた期待は裏切られたわけで、こうした政治キャンペーンのような大衆向けの双方向コミュニケーションのあり方をとても考えさせられるものであった。