前回の記事では、アメリカでのセカンドライフ参入企業が必ずしも成功していないことを書いたので、今日はその理由についてさらに分析してみたいと思う。

まず、下の表を見て欲しい。

この表は、非インターネットとインターネット及びセカンドライフで提供できる情報の特徴について比べてみたものだが、非インターネットとインターネットが対極にあるのに対して、セカンドライフはかなり中途半端、微妙なところにあるのがよくわかる。

まず経験であるが、セカンドライフは3Dであることから従来のインターネットより視覚的な経験はかなり豊かになる。しかし、味や触り心地などを提供できるわけでないので、ここに限界がある。視覚もこのFlickerSecond Life Business Review Photoを見てもらえばわかるように、かなりがんばらないと臨場感あふれる経験に行きつかない。(トヨタScionはかなりがんばってます。)VoIPやチャットが使えて同期コミュニケーションが可能な点は経験としてはプラスかもしれないが、日本人の場合これに慣れていないという問題点がある。
次に探索、つまり製品やサービスを検索などして比較できる情報が提供されているかということだが、現時点ではセカンドライフにはそうした検索機能はないので、せっかくインターネットだからこそできるこの情報提供が皆無となっている。つまりお店を探してまわりウィンドーショッピングをしなくてはならなくて、動きが限られているSLではこれはけっこう疲れる。

3番目の情報がデジタルであるという点はセカンドライフにもそのメリットはある。例えばデジタルだからこそ複製が簡単にできる。しかし、それはインターネットの特徴で特にセカンドライフに限ったものではない。

そして暗黙知、これは「語る以上に知ることができる」情報で、例えばそれは店の雰囲気とかコンサートの盛り上がりなど、作られる「場」の中での情報提供だ。セカンドライフが他のインターネットよりも優れている点はこの場の提供ではないかと思う。もちろん現実社会には及ばない。しかし現実社会ではありえない空間を越えて人が集うことでこの場が作られるというのはかなりすごいことだと思う。

このようにセカンドライフで提供できる情報はインターネットでもなければ現実でもない。これまでの米国企業の参入を見ていると、このあたりの勘違いがだいぶあるのではないかと思う。多くの企業は現実社会じゃないという現実を今ひとつ理解していないようだし、これまでのインターネットマーケティングもそのままでは通用しないということも理解されていないように思う.それでは何をしていったらよいのかということになる。(次回に続く)