ジョブズ氏がウォールストリート誌主催のコンファレンスD2007でインタビューに答えて話した日本についてのキツイ発言。これがiPhoneの発売に向けて、ジョブズ氏のマーケティング戦略が成功するかどうかが論じられているNYタイムズのiPhoneの記事(6月4日の記事に書いたシャタンさんがでている)にもでている。その発言とは

If you zoom out and you say why does the iPod exist? Why is Apple successful in this business? What's the answer? Because the Japanese CE companies who were the preeiminent hardware makers just couldn't do software as well it needed to be done. If you look at the iPod, it's a software product -- in beautiful hardware. Software wrapped in a beautiful package. The Japanese CE companies couldn't make the leap to create that kind of software. And that's why Apple enjoys the success it does with the iPod.

「ちょっと物事を大きく捉えて、iPodはどうして存在するんだろうかとか、アップルのビジネスはなぜ成功するのだろうかなんて考えてみると、
それはハードウェアということでは卓越した製造メーカーである日本の家電メーカーが、やらなくてはどうしようもなかったはずのソフトウェアができなかったからなんだ。

IPodを見てもらえばかわるけど、
これはあくまで、ソフトウェア製品なんだきれいなハードの箱の中にあるね。ソフトがハードにきれいに包装されているというわけさ
日本の家電メーカーがそういうソフトを思いつくことができなかった。 おかげでアップルはiPodで成功できたんだ。」


つまりジョブズ氏によれば、iPodが成功できたのは、日本の家電メーカーが、ユザーエクスピリエンスが優れている魅力的なソフトを作ることができなかったということの恩恵だというのだが、ということはiPhoneにも同じことが起こるののだろうか。

それで思うのは、日本の携帯電話がアメリカに参入が今ひとつでありつづける理由。技術的に独自路線を取ってしまったことなどはいつも論じられているけれど、価格の問題も無視できない。しかし、500ドル以上もするiPhoneがけっこう売れて行くとすると、それができなかった理由はどこにあるのかと思わざるを得ない。

その答えを見るのが、最近こちらで流れているiPhoneのコマーシャル(YouTubeでどうぞ)ではないかと思う。iPhoneが価格に見合うだけ実用性が本当にあるのかは全く無視して、iPhoneを使うちょっとカッコいいライフスタイルがやって見たいかなと思ってしまうからだ。その理由はまず、ジョブズ氏が言う魅力的なソフトとそれを包むきれいなハードの箱かもしれないが、さらに言えば、そのハードの箱を包んでいるブランドというもうひとつ外側の包み紙ではないかと思う。

それは、80年代からアップルがブランドとして打ち立ててきた、いつもおしゃれで、楽しそうで、新しくって、クリエイティブでだけどシンプルなライフスタイルとそれを支える小道具というイメージ。もちろん、ソフトとハードがそれを具現させているところにアップルのすごさがある。しかし、日本の携帯文化だってこのライフスタイルのかっこよさみたいなものは、かなり製品に具現化されていると思う。しかし、日本にはそれを押し付けられるのブランド力がない。文化はメジャーなところからマイナーなところへ流れていくからだろうか。こう考えると日本の携帯文化をメージャーな流れとしてアメリカに持ってくることの難しさがわかる気がする。う〜ん、でもそういうことの解決方法をしっかり考えるのが弊社のお仕事でもあるわけですが。