私の最近のお気に入りアニメはCBSで放映されている"Sushi Pack"、アメリカでは寿司の折り詰めがこの名前で売られているのだが、ここ数年で一般のスーパーでもだいぶなじみの商品になっている。そんな今どきのアメリカを反映しているこのアニメ、メインの5人のヒーローキャラクターは、なんとお寿司たち。タコ巻き、ウニ巻き、イクラ巻き、マグロ巻きとワサビと、日本の感覚の本当の巻き寿司としてはあり得ないものもあるのだけど、このキャラクターたちが、なかなかユーモラスでとてもカワイイ。

先月、はじめてこのアニメを見たとき、私はこの日米がゴッチャになったなんとも不思議なところにすぐに釘づけだったのだが、見ていると少しアジア的な思想を入れたけっこう泣かせてくれるエピソードだったりしてすっかりファンになってしまった。が、気になったのは最後のクレジットのところで、日本人らしき名前が一人もなかったこと。あったのは、アメリカ人と韓国系や中国系と思われる人の名前のみ。

この理由がC−Netの森祐治さんのコラム記事「墓穴を掘る日本コンテンツー北米のアニメ・マンガ事情が語るもの」を読んでよくわかった。日本のアニメ販売は、アメリカでは最近すっかり伸び悩んでしまっているようなのだ。
それにはアニメのDVD販売からテレビ放映へそしてオンライン視聴への移行という背景があるようなのだが、この流れを日本サイドとのビジネスの交渉のむずかしさや、ライセンス料の高さが阻んでいるあいだに、違法ダウンロードが増えてビジネスが成り立たなくなっているというのだ。それで、米国アニメ業界はすでに台湾や韓国のスタジオでの製作に目を向けてきているということだ。つまり、Sushi Packは、この典型だったということ。

そして、それは、アニメもアメリカに輸出されながらも日本のものではなくなってしまう日本文化のパターンにすっかり嵌ってしまっているということではないだろうか。

この一番良い例は日本レストラン。日本人が経営する店よりも中国人、韓国人、ベトナム人が経営する店のほうがはるかに数が多いし、アメリカ人のあいだでは流行っていたりする。日本人経営の店でも流行っているところは、アメリカ人客を中心に経営を目指しているところ。日本人シェフが本格的な日本料理を出す店は、日本人には人気でもなかなか大成功とはいかない。米国全土のスーパーに寿司を出しているチェーンも実は韓国人の経営なのだ。

明日に続く