オンラインのサービスとグローバル化といった視点から考えるとかなり興味深いことがたくさんあるFacebookの日本語版がユーザーによる翻訳によってできているというCNETのニュース。日本でのFacebookの普及はどうなるのかといったことが話題のようだが、このニュースには、それ以上にいろいろ考えさせられることがある。

1.ローカライゼーションのクラウドソーシング化

Facebookの翻訳に参加するには、FacebookのアプリTranslate(Facebookのアカウントがないと飛びません)を自分のFacebookのアカウントに追加するだけで簡単にできる。日本語はこのTranslateに含まれている翻訳が進んでいる言語のひとつであるわけだが、現在、投稿されている翻訳がなんと3万2千以上。というのもこのTranslate、翻訳のプロが使っているツールに近くて、かなり簡単に翻訳の投稿ができてしまう。そして、その投稿は投票方式で選ばれて採用されるという仕組みになっている。ソフトの翻訳のことは、一般にローカライゼーションと言って、これまでお金が出されてローカリがされてきたわけだが、こういうクラウドソーシング的な方式が本当に成り立ってしまうのはすごい。しかもFacebookは、このアプリの開発と提供に資金が必要だったものの翻訳自体には1セントもお金を使っていないのだから。

2.オンラインサービスのグローバル化

ソフトがデスクトップのアプリケーションとして提供されることが終焉に向っている今、消費者向けのサービスは、もちろん業務用のアプリもいわいるSaaS型の提供がどんどんシェアを伸ばして行っている。ここで、考えるのが、こうしたオンラインサービスはどうやってグローバル化をしていくのだろうかということだ。というのもオンラインであれば、別にそれぞれの国に事務所を持ったり、サーバを置いたりしなくても充分サービス提供が可能なはずだからだ。とは言え、単にローカライゼーションをしただけではサービスは普及しない。市場開拓やマーケティング、そしてセールスが必要になってくる。簡単にローカライゼーションができるだけに、今度はこの集客の壁をどうやって乗り越えるかが大きな課題となる。Facegookでは、CEOが日本に行ってニュースリリースもあったわけだが、この程度のPRとマーケティングでどの程度の集客が得られるのかとても興味深いところだ。

3.グローバル化とローカル化

そして、さらに考えるのが、こうしたオンラインサービスをローカライズすることの意味だ。、FacebookのようなSNSサイトは、場所を越えて多くの人と一緒に何かをできるところにそのひとつの醍醐味がある。もちろんローカルの友達とのコミュニケーションにも使えるけれど、それ以上にグローバルなところが魅力的。だからローカライゼーションは逆にその魅力を半減してしまうのであると言える。日本語でコミュニケーションできるのは世界の60分の1しかいないのだから。ローカルの文化を守ることとグローバル化することとどちらが大切か。これは人類の永遠の課題のひとつだから、そう簡単には解けないかもしれない。クラウドソーシングや新たな技術がその問題を解決していく鍵になるのか。言葉の壁、文化の壁を越えていくことができるのか。これは、本当に興味深い。

といろいろと考えさせてくれるFacebook。今後の動きがとても楽しみです。