以前働いていたアメリカの大手ソフト会社マイクロソフト社)での話です。その当時開発していたソフトの納期に間に合わすため会社から特別に後一月の間の週末3回、是非出社して仕事をして納期に間に合わせて欲しいとチーム全体に依頼があった。もちろん強制ではない。それに納期に間に合わせることが出来たらならばチーム全員の社員とその連れ合い(Spouse)も招待してハワイ旅行に連れて行ってあげるというご褒美付きの週末残業依頼であった。そしてチームの殆どの社員が週末3回出てきて何とか期日までに仕上げることが出来た。会社としては万々歳。日本ではこれで手打ちとなるところ。

ところが、ところが、やっぱりアメリカでは事情が違うんですな。周りの話を聞いてみると、なんと数人の社員の奥さんからクレームが付き離婚話が飛び出したというではないか?何々?なぜだ?旦那の会社が仕事で納期に間に合わせるための残業を依頼しただけなのに。

旦那が働いている会社が安泰であれば当然奥さんもハッピーなはずだが?と思いきやそれは日本的発想でした。ここはアメリカ、アメリカはアメリカの方法でやらないと拙いことになる。それこそ郷に入っては郷に従えか?それでは何が基本的に違うんだ?

アメリカ=家族第一主義、日本=仕事第一主義。この定義だが、アメリカの定義は現在でも有効だけれども日本の定義は変わりつつあるかもしれない。第二次世界大戦後に団塊の世代が生まれてきて仕事第一主義になったことは事実である。その世代が今年で定年を迎えだすことを考えるとこれからの日本も首相が提唱する「美しい日本」になるために仕事優先ではなく家族優先の時代が来るのかもしれない。

この主義の違いによって逸話が生まれたのをご存知だろうか?その昔、日本のプロ野球阪神球団で起こった事件である。当時バースというアメリカ人の強打者がいた。その彼の力もあって阪神は優勝したという経緯がある。その(今でいう単身赴任の)バースがシーズン途中でアメリカに残していた子供が病院に入院したニュースが飛び込んできた。彼としては親としてじっとしていられなく球団にどのように連絡したか知らないが、急遽その日のナイトゲームを休んでアメリカに戻ってしまった。球団としてはその日のゲームをおっ放り出してアメリカに戻ったバースを即刻首にしてしまった。

このニュースを聞いたのは私がアメリカにいる時であり、阪神球団が何故彼を首にしたのか理解に苦しんだことがあった。アメリカに生活していると家族の生活が優先である。現在コンサルをやっているアメリカの会社においても家族に何か急用ができるとその社員は上司に断って早退をするがこれが当たり前の会社での生活なのである。私でも時と場合によっては家族の用事というこで会社を早退、或いは休む事だってありうる。誰も文句も言わないし、首にもならない。アメリカでは当然。日本もいつかはこれが当然となる日がくるのでしょう。